本来無一物

本来無一物

時に極端に、時にふらふら〜と生きている日常を綴ってます。

マザーテレサ 愛のうた

伊東えりさんが出演している『マザーテレサ〜愛のうた〜』を観劇しに行きました。
冒頭から良い作品の予感がじわじわ。

みなさん舞台役者だから当然だけど滑舌が良くて聞き取りやすい。
あと台詞がとても自然。
音楽劇って不自然な台詞回しでちょっと物語に入りづらかったりするのだけど、この作品は皆さん歌うように話すのが得意?なのかとても自然で違和感がなかった。
違和感があると会話なのに歌?って気持ちになってしまうから。

皆さんそんな風に上手なんだけどやっぱり伊東えりさんは特に上手だな、と。
もともとの声が歌のようというか、羨ましい声音です。


マザーテレサを題材にしているからとてもシリアスな作品だと思っていたのだけど、意外とコミカルなシーンもあるし(マザーテレサがとてもポジティブでお茶目なキャラクターだった)、明るい印象もある作品だったのは意外。
それが作品と合っていない白々しい明るさではなくて、とにかく前向きでポジティブな明るさで良いなと。
だからより一層シリアスなところが際立つ。
ポップな歌からオペラ調のような歌にガラリと変わってその歌が、歌というより『祈り』。

 

マザーテレサはこんな素晴らしいことをしたと伝える作品と言うよりは一人の人間の行動力が多くの人を救ったことがよくわかる作品。
特にかつての教え子達がマザーテレサの意志を受け継いでいるくだりはとても素敵なシーン。
スバシニ=シスターアグネスのマザーテレサへ抱く思いって本当に胸が熱くなる。
最初は先生と教え子としてありふれた関係性だったのだけど、マザーテレサのあまりにも強い意志と行動力にスバシニは彼女との違いを痛感してしまう。
マザーは特別な人だから自分はこの先見ているだけしかできない…そんな風に悲しく思っていたスバシニだけど、その思いをマザーテレサ同様ポジティブに変換させる。
マザーテレサが一人では何もできないと打ちひしがれそうになったちょうどその時、裕福な暮らしを捨ててついにマザーの意志を実行するために動き出すスバシニの美しさと言ったらない。
マザーの背中を見ているだけと思っていたスバシニがマザーと共に歩むべくシスターアグネスになる。
このシーンは特別な人だけが特別な偉業を成し遂げるのではなく、普通の人だって本人の意思と行動で偉業を成し遂げることができると言われているようで希望を感じた。


マザーテレサは終始神様から役目を賜ったような言い方をしているんだけど、それは伊東さんも同じなのかなと思ってしまった。
それほど彼女の歌声が神様の声に聞こえたから。
伊東さんの歌声を聴いて救われる人って絶対いる。
特にマザーテレサノーベル平和賞を受賞した時の歌唱はマザーテレサと伊東さんがシンクロしたみたいだった。

 

マザーが抱いていたことって、人間誰しも神様=良心があるってことなのかな?
人というものについてよく考えさせられました。

 

良い作品の時はずっと観ていたい気になるけどお芝居である以上必ず終わりが来てその切なさと言ったらないですね(T-T)


善い行いをしようと思えるそんな作品でした。