ミュージカル 『PARADE』 観劇
先日、石丸幹二さん、堀内敬子さん主演のミュージカル『PARADE』を観に行ってきました。
チケット代がなかなかお高く行こうかずっと悩んでいたけど、元劇団四季の二人だし・・・ととりあえずチケットを取って行ってみた。
私の初舞台観劇は14歳のときに見た劇団四季の『ライオンキング』で、劇団四季には並々ならぬ思いがある。あの舞台を見たからこそ、今舞台を好きになった自分がいる(でもそれ以来劇団四季を観に行ったことはなく、今年10年以上ぶりに観に行く予定)。
結果、とてもよかった。
よかった、なんて言葉で片づけたくないくらい頭から離れない。
夫婦の絆、人間の欲、差別。人間という生き物をとことん突きつけている作品だと思う。
一人の少女が殺害されたことで、多くの人間ドラマが展開する。
エリート思考でプライドが高かった主人公、レオ。お嬢様で世間知らずの妻、ルシール。
特にこの二人が私は好きだったな。
当初は価値観があまりにも違っていた二人だけど、レオが殺人犯にしたてあげられたことによって、関係性まで大きく変わっていく。
表面上は良い夫だったレオだけど、内心は自分のことしか見えていなくて、ルシールが外でどれだけバッシングを受けているかなんて全く考えられないし、辛いのは自分なんだと責め立てる。
ただの純真な女でしかなかったルシールだけど、レオを守るために変わっていくんだよね。
レオは信じてはくれなかったけど、レオを守るために奮闘して、知事の人生まで変えてしまう。
ルシールの勇気ある行動のおかげで、レオは『一人じゃなくてよかった』って思えるくらいに成長する。
この感情を石丸さんが見事に歌いあげていて、本当に『よかった、レオ』って私は思ったよ(ちなみにこの作品がどんな内容なのか知りませんでした)。
一方ルシール演じる堀内さんの力強さはすごかった。
『女性』という生き物そのものな感じがした。
柔和で穏やか、その分守ってあげなきゃいけないような儚さがあるかと思ったら、すっ飛ばして母性全開みたいな感じ。
無邪気な幼少期、複雑な思春期、何もかも包み込む成熟期。ルシールという役にすべてが詰め込まれている気がした。
かわいくて優しい部分、レオの言葉やバッシングに傷つく部分、怖いものは何もないと思えるほど、愛する人のために奮闘する部分。
ここが見事に表現されていたからこそ、レオの繊細さが生きたと思うよ。
これ、ルシールが下手だったら、レオまで足引っ張られてただ自分勝手で弱い男に見えたと思う(都合のいい時だけ女性に甘えるような男にね)。
夫婦の絆や愛がとても美しいものだと思えた瞬間はお二人の演技力の賜物です。
けれど運命は残酷で、二人のそんな幸せのひと時すら奪ってしまう。
レオの最期があまりにも悲しい。
なんであんな目に合わなくちゃいけないんだ、って思ってしまう。
でもそうするにはそうするだけの理由があって、やりきれない感情の末路があれなんだ。
戦争を含めて人の命を奪うって、それだけ人の良心や尊厳というものを歪めてしまうんだろうな。
最後のシーンで民衆がパレードを楽しむ中、ルシールは唇を噛み締めて必死に耐えているの。
ルシールにとって夫を奪ったのは故郷であって、その故郷でずっと生きていく決断は相当な覚悟がいると思う。
力なくパレードを横切り、最後それを見つめるルシールの眼差しが忘れられない。
悲しいのに強い眼差しをしていた。でもそれは憎悪ではないように私は思う。
そういう人間の性がテーマのこの話だからこそ、ルシールはそういうものと戦う強さを持って、最後あんな眼差しをしたんじゃないかな。
演技も歌も、文句のつけようがなく…というより鮮明に焼き付いてしまってどうしても離れなくて結局もう一度行きました(笑)
2回目は当日券を入手するために並んだよ・・。
2回目は1回目よりも内容が理解できた分、最初から泣きそうになった。
皆さんなんであんな歌も演技も上手なんだろう。
プロローグからして魅了する歌声だよね。
全てが一体感を持った作品。
誰か一人が良いとかじゃなくて、全体のクオリティが恐ろしく高い。
余談だけど、主演のお二人、劇団四季で相手役を演じたことが何度かあるばかりじゃなく、同期入団らしい。
プライベートと演技は全く別物だと思うけど、この二人にしか作れなかったレオとルシールだと思ってしまう。
専門的なこともお二人の関係もわからないから完全に感覚で話しているけど、そう思う。
本当に素晴らしい作品だった。
同じ舞台を何度も観に行く人をまったく理解できない側の人間だったのについに仲間入りだよ(笑)
パンフレットなんていらない主義だったのに買ってしまったよ(笑)
いやー・・本当に素晴らしい作品だった。
また観たい。